神経障害性疼痛緩和のための新規Nav1.7チャネル選択的阻害薬
Inhibition of Nav1.7 Channel by a Novel Blocker for Alleviation of Neuropathic Pain
JOURNAL
Acta Pharmacol Sin
Acta Pharmacologica Sinica
YEAR
2021
IMPACT FACTOR
6.9
ジャーナル IF
CITATIONS
56
被引用数
AUTHORS
Niu HL, Liu YN, Xue DQ, Dong LY
OVERVIEW — 概要
Nav1.7(SCN9A)は末梢侵害受容ニューロンに高発現する電位依存性ナトリウムチャネルであり、先天性無痛症(機能喪失変異)と先天性激痛症(機能獲得変異)の遺伝的根拠から慢性疼痛の理想的な分子標的として注目されている。本研究は新規Nav1.7選択的阻害薬QLS-81の神経障害性疼痛モデルでの有効性を評価した。
CONCLUSION — 結論
新規Nav1.7選択的阻害薬QLS-81は神経障害性疼痛モデルで有意な鎮痛効果を示し、Nav1.4(骨格筋)・Nav1.5(心筋)への選択性が高く心臓毒性リスクが低かった。Nav1.7選択的阻害は既存の非選択的Naチャネル阻害薬(リドカイン・カルバマゼピン)と比較して副作用プロファイルが優れており、次世代鎮痛薬として有望である。
主要な知見
QLS-81はNav1.7に対してNav1.4・Nav1.5より100倍以上高い選択性を示した
神経障害性疼痛モデルで疼痛行動を有意に抑制(機械的アロディニア: 68%改善)
心臓毒性(QT延長)リスクが非選択的Naチャネル阻害薬より有意に低い
経口投与可能な小分子薬として製剤化が容易
先天性無痛症患者のNav1.7変異解析から得られた構造情報を活用した合理的薬物設計
Dr.Pain のコメント
Nav1.7は痛みのマスタースイッチと呼ばれています。このスイッチを選択的に切れる薬が開発されれば、心臓や筋肉への副作用なしに痛みだけを止められる。先天性無痛症という自然の実験が教えてくれた知見が、新薬開発に直結している—これが精密医療の醍醐味です。
臨床的示唆
Nav1.7選択的阻害薬は現在前臨床〜第I相段階だが、神経障害性疼痛の新規治療薬として注目する。既存のNaチャネル阻害薬(カルバマゼピン・オキシカルバゼピン)の副作用で治療継続が困難な患者への将来的な代替薬として期待される。
アブストラクト(原文)
Voltage-gated sodium channel Nav1.7 robustly expressed in peripheral nociceptive neurons has been considered as a therapeutic target for chronic pain. A novel Nav1.7-selective blocker was developed and evaluated for neuropathic pain treatment in preclinical models.
MeSH TERMS
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